とにかくもう1人の相続人には会いたくない。公正証書遺言と遺留分侵害額請求でもストレスが少ない円滑な相続が実現した事例
基本情報
被相続人 | 母 |
相続人 | 兄、妹、妹の子(孫養子) |
相続財産 | 数億円 |
相談時の状況は?
兄が家族と絶縁状態である。母も兄に関しては見放している。父の相続の時もそのときだけ兄は家族と関りを持ち遺産分割協議では本当に大変な思いをした。母は妹に全ての財産を相続させたい。妹も現在の兄とは会いたくない、また恐怖心もある。
相談への対応
母が高齢で複雑な公正証書遺言は作れない。また高齢のためすぐにでも公正証書遺言を作成したい。
また母の想いは財産を全て妹へ相続させること。遺留分侵害額請求の民法は理解するが自分の意思表示を一番にしたい。そのため、妹が全ての財産を相続する。という公正証書遺言を作成した。合わせて妹の子を1人孫養子とした。
対応による結果
公正証書遺言の作成から1年6ヶ月後に母が他界した。遺言執行者である妹は税理士の協力を得て財産目録を作成、司法書士は公正証書遺言の通りに不動産の相続登記を完了した。
兄は当然に遺留分侵害額請求を行うため、母の完全な意思の実現には至らないが、遺留分侵害額請求は全て弁護士を通しての交渉となるため、妹は兄と顔を合わせて話し合いの場を持つなどの一切のストレスから解放されて粛々と弁護士同士で結論にむかっていった。
遺留分は民法が規定しているためそこは仕方がないので、遺留分である1/6を金銭で渡すことで決着がついた。遺留分は金銭での精算が原則のため先祖代々の不動産や今後の生活の糧でもある収益不動産は妹が相続することができた。
今回の対応のポイント
公正証書遺言の作成のスピード対応と遺留分侵害額請求は前提としての母の想いの実現。会いたくない相続人との遺産分割協議からの解放のためにも公正証書遺言の作成が改めて大切だと感じさせられた事例です。
公正証書遺言があれば、まずはその通りに実現をするため、後に遺留分侵害額請求があったとしても、相続自体は円満ではないかもしれませんが、円滑には進みます。生前からの関係性が破綻しているのであれば円満な相続はそもそも望めません。ただ円滑な相続は実現することができます。
またお母様の公正証書遺言の作成をきっかけにお母様そして相続をした妹様の毎年の不動産所得の所得税確定申告書を請負っています。次の世代への相続対策やアパート経営についてもご支援を継続させていただいています。