亡くなった被相続人の住民税は支払わなければいけないのでしょうか。

ご相談内容

 

今年、父が亡くなりましたが、住民税は支払わなければいけないのでしょうか。

 

 

ご相談に対する回答

 

令和5年度の住民税は納税義務がございますので、たとえ分割払いでも納税義務を引き継いだ相続人等の方に納めていただく必要がございます。
住民税は、毎年1月1日に住所を有する人に課税される税金ですので、令和5年1月1日に納税義務が発生しており、お支払日にお亡くなりになっていたとしても納める必要があるという整理になります。

ただ、お支払いになりました住民税等の債務は、相続税の計算上、財産から差し引くことができますので、領収書は大切に保管してください。

 

相続税の上場株式等の物納と延納について

個人が上場株式等の財産を物納した場合には、譲渡がなかったこととみなすとされています。そのため、上場株式等を売却して納税するよりも有利ではあります。

ただし、物納の許可を得るにはハードルが高いです。
物納は1年間に全国で約50くらいしか許可されない(そもそも申請数も少ない)です。

物納は相続税の額から現金納付が可能な金額を控除して、かつ、延納できない金額について許可がされます。

まず延納についてですが、滞納税金の分割払いという性格であるため、税務署長の許可制となります。
そのため、
・必ず認められるとは限らない点
・税務署も担保提供を求めることは金融機関と変わらない点
・延納できる金額はあくまで納税できない金額ですので、「納税者固有の預金(相続人の○○様の預金)」やすぐに「換金できる財産」から「3ヶ月分の生活費」を控除した残額は納税をしなければなりません。なお、換価できる財産に物納対象財産である上場株式等は除外されます。
その残額を納税をした後の金額しか延納の対象となりません。個人的には「3ヶ月分の生活費」しか手元に残らないのはどうなのか。と思います。 これが延納が1年間に全国で約1,000くらいしか許可されない(そもそも申請数も少ない)理由だと思います。

また、不動産収入や給与所得など毎年経常的収入がある場合には物納より延納が優先されます。
延納できない金額を大きくするために相続人固有の預貯金を証券口座のMRFに入れる方法もあります。MRFは実質的には普通預金ですが投資信託に区分されることから物納財産に該当するため相続人固有の預貯金とはみなさない。とする専門書籍もあります。

上記のように物納ありきで相続税の納税を考えることは危険です。まずは相続税の納税額を踏まえてどうするか。事前の対策が大切になります。

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